「映画アキラとあきら」絶望に立ち向かう二人が熱い!ネタバレありの感想と評価

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8月26日公開の「アキラとあきら」を観てきました。

原作は、池井戸潤さん。

主役は竹内涼真さんと横浜流星さんのお二人です。

このお二人が主役、そして池井戸潤さん原作の作品ということで、公開をとても楽しみにしていました。

原作は未読、ドラマも観ておらず、予告とチラシからの情報以上のものは何もない状態で映画を観てきました。

ありきたりな感想ですが、見終わった後が清々しくとてもいい作品だったと思います。

いいと思ったポイントの中の一つが、「絶対的な悪者」がいないということ。

映画を観ている途中までは、その行動にイライラしてしまった人達にも、汲んでしかるべき理由が見えたり。

非情に思える人にも、その人なりの立場や考え方が見えると、こちらの感じ方も変わってきました。

映画を観ながら、いろいろな立場の人に感情移入してしまいました。

もう一度観たら、もっと違った角度の感想もたくさん出て来そうな映画です。

ここから先はネタバレになります。ネタバレNGの方は映画を観終わってから、また再訪していただけたら嬉しいです。

<追記>

2023年9月よりAmazonプライムビデオで、劇場版「アキラとあきら」が観られるようになりました。

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アキラとあきらも観られる

目次

映画アキラとあきら、登場人物への感想

この映画は、キャスティングが最高に素晴らしいと思いました。役にすごく合ってるんです。

個々に感想を挙げている方々の他でも、役に合っているなと思ったのが、下記の方々。

  • 塚地武雅さん・・・山崎瑛の父の工場の元従業員
  • 石丸幹二さん・・・階堂彬の父
  • 満島真之介さん・・・山崎瑛が銀行員を目指すきっかけになったバンカー
  • 宇野祥平さん・・・井口ファクトリーの社長

■竹内涼真さん演じる山崎瑛(アキラ)

同期入社の階堂彬と山崎瑛、この二人がこの年次の入社組の中で飛び抜けて優秀だと言われていました。

優秀だけれども、性格的なタイプは二人それぞれに違っていて、竹内涼真さんの方のアキラは情に厚い男。

融資先の困窮をどうにか救ってあげたい気持ちと、上司の命令の間で板挟みになってしまいます。

辛い想いを抱える場面が何度となくあり、真っ直ぐな彼の辛そうな表情は心に刺さります。

辛いことが続いて心が折れそうになっている時、届いた1通の国際郵便。それは自分の娘の命を、ある意味救ってくれたことに対する感謝の手紙でした。

手紙を読んでいる時のアキラの涙に、一緒に涙している人もいました。(私もです)

自分がもし経営者の立場だったら、竹内涼真さんの演じるようなバンカーに取引をお願いしたい!

物語の終盤で、最大の難関と思われた障壁を突破した時は、本当に嬉しかったです。

■横浜流星さん演じる階堂彬(あきら)

大会社の御曹司。頭脳明晰で沈着冷静。思うところがあって、親の会社を継がず銀行に入行します。

頭が切れてクールで、ともすれば不遜で嫌なヤツに見えますが、彼も中身はとても家族思いの「熱い」男でした。

あきらの父が、亡くなる直前にあきらに何かを伝えようとした場面。

結局その「何か」は伝えることなく亡くなってしまったのですが、私の勝手な推測では、あきらに「弟を助けて、会社を支えていってくれ」と伝えたかったんじゃないかと。

あきらの優秀さと内に秘めている熱さを、一番認めていたのは父だったんじゃないかと思います。

弟が父の後を継いで社長になった会社が破綻寸前まで追い込まれた時も、銀行を辞めて会社を立て直すのために、あきらは必死で戦います。

クールで優秀で自信家な彼が見せる打って変わった必死さ。熱い気持ちが画面越しにも伝わってくるようでした。

横浜流星さんは、自信と余裕があるシーンでももちろんかっこいいのですが、必死になっているシーンもとても良かったです。

アキラが責任をとって銀行を辞めるという場面で(結局稟議が通ったので、退職はしなくて良かったのですが)、あきらが駆けつけて「お前は銀行をやめるな!」と必死の形相で言うのです。

以前のあきらなら絶対しなかった行動じゃないかと思います。

このシーン『階堂彬』としても、『横浜流星』としてもすごくかっこ良かった!

■高橋海斗さん演じる階堂龍馬

小さい頃は仲が良かった二人が、社会人になってからの登場シーンでは、わだかまりができているようでした。

どちらかと言えば、弟の龍馬が兄のあきらに対して敵対心を抱いている感じ。

優秀な兄に対してコンプレックスがあるだけではなく、父の会社に入社せず銀行へ行ってしまったことを納得できていない、裏切られたとすら思っている様子です。

兄に対する反発が、龍馬の考え方や行動の基になっていることを叔父たちも分かっていて、そのことを利用して自分たちの会社の負債を龍馬にも負わせます。

弟の龍馬が社長として会社に居る時の姿は、お世辞にも「いい社長」と思えるところはなく、まるで暴君のようでした。正直、こんな社長だと周りの心も離れるのではと思いました。

そんな暴君になってしまったのも、自分で勝手に『兄より上であろう』とした結果なんじゃないかと。龍馬はずっと心の中で、自分と兄を比べ続けていたんじゃないかと思います。

もし自分の至らなさを認めて、周りに頼れる人間だったら、兄へのコンプレックスを良い方向へ昇華できていたら、事態は変わっていたのかも知れません。

会社が破綻してしまう寸でのところで、兄に助けを求め、二人がやっと歩み寄れたシーンがとても良かったです。

■あきらの叔父二人

あきらの父には弟が二人いて、上の弟をユースケ・サンタマリアさん、下の弟をアンジャッシュの児嶋さんが演じています。二人とも演技がうまく、『最高に嫌な兄弟』でした。(ほめてます!)

祖父の時代では一つの会社だったものを3つの会社に分社化し、それぞれが社長となり後を継ぎました。なので二人の叔父も社長という立場です。

この二人の叔父が、なかなかイラつく人たちでした。兄(あきらの父)へ不満ばかり訴え、自分のことしか考えない。新規の事業(ホテル経営)も、リスク管理が全然できていない上に、嵩んだ負債に対処するわけでもなく、甥(龍馬)を連帯保証へと引き入れる始末。自業自得の天罰でも下らないかなと思いました。

ただ、品性が良くない経営者であったとしても、そこで働く大勢の従業員には大変な目に遭って欲しくない・・・

物語の終盤で、私が一番意外に思った行動がありました。

それは土下座。

あきらが叔父二人に対して土下座をしたのです。びっくりしました。予想だにせずとは正にこのことで、本当に驚きました。

物語に出てくる登場人物の中で、一番土下座をしなさそうな人物。そんな人が、弟に卑怯なことをしたりグループ会社全体を窮地に陥れた叔父たちに、グループ全部を助けるために「一緒に戦ってくれ」と土下座をして頼むのです。

叔父たちの境遇を理解して土下座をしたあきら。

あきら自身も人間的に深くなったように思いました。

叔父たちの「自分の舵を取り上げられた」境遇も、大変なことだったんだと、同情の気持ちも出てきました。(が、やっぱり龍馬に対してやったことは卑怯です。)

この叔父たちが通常なら「絶対的な悪者」になりがちですが、この映画ではそうはならなかった。良かったです。

■江口洋介さん演じる不動公二(山崎瑛の上司)

主役二人も良かったですが、江口洋介さんもとても良かったです。

融資先の困難や家庭の事情に寄り添い、なんとか救えないかと頑張る山崎瑛(アキラ)に対して鉄壁のように立ちはだかる人物です。

融資の判断は「確実性」で決め、融資を否認する時は冷徹で、非情にすら思えます。

最初はとても嫌な人物に思えた不動でしたが、クライマックスであきらと対峙する時の彼の信念を聞くと、そこにも確かに「理」がありました。

銀行で働く行員が少しずつ積み上げたモノを、一時の「情」で失うわけにはいかないと。

不動も決して「非情」なのではなく、会社に不利益になりそうなものは排除し、会社を守ろうとしている「信念を持った人」なのだと分かります。

周りの同僚が不動のことを、「自分の出世に響くようなことは絶対しない」と評していましたが、アキラがあきらを救おうと出した稟議のことで不動と意見の応酬になった時、不動の本意・信念がその場にいる全員に伝わったと思います。とても印象に残る場面でした。

アキラと不動だけではないですが、それぞれの立場で守るもの・信じるものは違い、そして、そのどれもが絶対的な正解でも絶対的な間違いでもないんだなと思いました。

主題歌は back numberの「ベルベットの詩」

映画アキラとあきらの主題歌を歌うのは、back number。

back numberも好きなアーティストさんなので、決まった時は嬉しかったです。

映画のエンドロールで主題歌の「ベルベットの詩」がかかるのですが、その歌詞が映画にとてもリンクしていて、そこでもストーリーに浸らせてもらいました。

「ベルベットの詩」は、苦悩や葛藤と戦いながら生きている人たちへのエールです。

この曲単体でも素敵な曲だと思うのですが、映画のラストでこの曲がかかると、さらに世界観が広がって、素晴らしい相乗効果が生まれます。

映画の印象がより深いものになりました。

原作は池井戸潤さん

父親の経営する町工場が倒産し、幼くして過酷な運命に翻弄されてきた山崎瑛<アキラ>。大企業の御曹司ながら次期社長の椅子を拒絶し、血縁のしがらみに抗い続ける階堂彬<あきら>。運命に導かれるかのごとく、日本有数のメガバンクに同期入社した二人は、お互いの信念の違いから反目しあいながらも、ライバルとしてしのぎを削っていたが、それぞれの前に<現実>という壁がたちはだかる。<アキラ>は自分の信念を貫いた結果、左遷され、<あきら>も目を背け続けていた階堂家の親族同士の骨肉の争いに巻き込まれていく。

そして持ち上がった階堂グループの倒産の危機を前に、<アキラ>と<あきら>の運命は再び交差する―

映画アキラとあきら より

『アキラとあきら』の原作者は、『半沢直樹』『陸王』など数々のベストセラーがある池井戸潤さん。2017年に徳間書店から文庫が発売され、同じ年にWOWOWでドラマ化。

ドラマ版は第34回ATP賞テレビグランプリを受賞し高い評価を得ました。

小説の方は、2020年8月に集英社から上下巻で文庫が再販されています。

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アキラとあきらも観られる

最後に

映画アキラとあきらの上映時間は、128分。長めな映画ですが、気持ちを切らすとこなく最後まで観ることができました。

登場人物それぞれにあるストーリーが運命的に交差していき、場面場面で色んな人の言葉に心が揺さぶられました。

絶対的な悪者がいるわけでも、勧善懲悪のカタルシスがあるわけでもないのですが、逆に私はそこが良かったかなと思っています。

見終わった後は爽やかな気持ちで、これから頑張ろうという元気が沸いてきました。

とても気持ちのいい映画です。ぜひ、映画館で観ていただきたいなと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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